コラム

2017.08.25

肢体不自由児・者向けの段差解消

「肢体不自由者」は法規上の障害者の分類のひとつで、四“肢”の麻痺・欠損や“体”幹の機能障害により、日常の動作や姿勢の維持に“不自由”のある方を指します。先天的・後天的を問わない総称で、要因の8割が脳性まひや脳梗塞等の脳疾患とされています。また、身体障害者手帳が交付される方の約半数が「肢体不自由者」といわれています。

学齢期においては学校教育法等の諸法規により適切な教育・支援を受けられるようになってきてはいますが、社会全体で捉えると、肢体不自由者に対する認知度や支援体制はまだまだ完全ではありません。

特に、肢体不自由者向けのバリアフリーという観点では、設備等のハード面の整備が追い付いていないのが現状です。

まず、肢体不自由児・者が生活する住居についてです。車いすを使用する場合、玄関の段差は障壁の一つとなります。また、自力歩行ができても階段の昇り降りが困難な場合、エレベーターのない個人宅での上下階移動も障壁の一つです。幼少期であれば家族が車いすを持ち上げたり身体を抱えたりして越えられた段差も、心身の成長や障害の程度の変化とともに介助が困難になってきてしまいます。とはいえ、住居の住み替え・建替え・全面改修は大きな負担を伴います。

公共交通機関や国や地方自治体が管理する公共施設についてはバリアフリー化が進められてきています。一方、民間の商店や企業などは建物のバリアフリー化が義務付けられているわけではないので実施率が低いです。一般的に、障害のある方が家族やヘルパー以外に介助を頼むという際には心理的な負担が伴います。行きたい場所がバリアフリー化されておらず出掛けたい時に介助者の都合がつかない場合には、外出を諦めてしまうケースもあるようです。

肢体不自由児・者向けの段差解消を検討するにあたって、事前に確認する内容は以下の通りです。一つ目は、解消したい段差が階を跨ぐか跨がないかです。エレベーターのない建物で段差が階を跨ぐ場合は階段昇降機の設置、段差が階を跨がない場合はスロープ又は段差解消機、階段昇降機のいずれかの設置が考えられます。二つ目は、設置したい箇所の寸法です。階段昇降機の場合は階段幅や傾斜等によって車いすごと乗れる車いす用階段昇降機か、いす式階段昇降機のどちらが設置できるかが決まります。スロープの場合は車いすが安全に通れる傾斜でなければならないので、スペースが限られていたり高低差があり過ぎたりする場合は設置が難しいです。階段昇降機も対応角度が決まっているので、安全に昇降や乗り降りできるかを周囲の状況で判断します。車いす用の段差解消機の場合は、主に使用する方の車いすのサイズや重量等も加味して機種・品番を選びます。三つ目は介助者の有無です。主に操作される方に合わせて操作スイッチの位置や形状等を考える必要があります。

株式会社マイクロエレベータでは、肢体不自由児・者の方にも安心してお使いしていただける階段昇降機や段差解消機の取り扱いがございます。障害の程度や特性、建物の形状に合わせたご提案が可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。(丸地)

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