コラム

2018.06.22

階段における事故と福祉機器の種類

東京都生活文化局消費生活部が平成29年9月に公表した「ヒヤリ・ハット調査『シニア世代における一人及び二人暮らしの身の回りの危険』調査報告書」によると、高齢者の家庭内事故で最も発生件数が多い場所は「リビング・居室」(20.2%)、次いで多いのが「自宅の玄関・階段・廊下」(16.1%)です。
 階段に限ると、病院に行くレベルの怪我(入院を含む)をしている人は本調査全体で159名(3000名中)、病院に行くほどではない怪我やヒヤリ・ハット経験まで含むと511名(3000名中)にも及びます。

 上記調査において、階段における危害とヒヤリ・ハットの事例を抽出すると、「転倒」が508名、「ぶつけた」が3名で、階段においては「転倒」を防止することが重要であることがわかります。
 「転倒」の種類にもいくつかあり、「踏み外した」、「転落」、「滑った」、「バランスを崩した」、「つまずいた」など状況は様々です。

 では、階段での事故を防ぐ為にはどのような対策をしたらよいのでしょうか。

 まずは、階段上や周辺の障害物をなくして歩くスペースを確保することが有効です。
 古新聞や雑誌など捨てようと思っているものや、掃除機や洗濯物などすぐ使うものを置きっ放しにしている場合は、ものをどかすことで階段の幅が広くなります。
 また、電気や回線のコード類は隅に貼り付けておくとことでつまずきの防止になります。

 室内でスリッパを履いて生活する習慣のある方は、階段昇降の際は脱ぐようにすることも有効です。
 スリッパを履いていると、スリッパが脱げないようにと無意識のうちに裸足のときとは異なる関節の動きで階段昇降をしてしまう為、転倒のリスクが高まります。

 工事を伴わず簡単に取り入れられるグッズは、蛍光・夜光テープ、足元灯などです。
 色や明かりで段鼻を目立たせることによって、踏み外しによる転倒を防ぐことができます。

 滑り止めについては、階段の地の色と見分けがしやすいものを選び、段鼻を削ってフラットになるように設置するのが理想的です。
 滑り止めが段鼻から突出していると、滑り止めがつまずきの原因になることもあるからです。

 手すりについては、強度が問題となる為、できれば専門の業者に依頼しましょう。
 袖口などが引っかからないよう、端の部分は壁寄りに曲げてあるものが理想的です。

 ここまでの対策だけでも、かなり転倒のリスクを減らすことが可能です。
 ただし、階段昇降の動作自体が難しくなってきた場合、介助者に頼ったり、階段昇降をしない生活に切り替えたりする必要が出てきます。

 いす式階段昇降機などの福祉機器を設置すると、上階に居住スペースがあっても住み慣れた家で家族と一緒に安全に暮らすことができます。
 設置をご検討の際は、マイクロエレベーターにご相談くださいませ。(丸地)

その他のコラム